中部大学教育研究11
4/134

の対象であり、かつ重要な教育活動の一部だといえます。これまでに多くの教育関係の研究者がこの点については論及されてきました。この課題は、一般論としての論理性と概念性の確かさに加えて、個別事象に対する課題の抽出とその解決策の提案を必要とします。つまり、自学教育論の開拓研究による自学教育の確立であります。だから、一人の優れた高等教育学者にまかせておけば解決できるというようなことではなく、現場の実態に立脚した課題の設定とそのための多様な解決法の開発が必要なのです。いうならば、中部大学の教育論と教育実践論の研究開発が求められているのです。この中部大学教育論をより確実に実践するためには、この教育論と実践論を正しく評価する評価論も必要となります。つまり、個別大学における大学教育の自学展開論の開拓と実践に結び付く教育評価論の研究です。このためにどんな尺度を用いて評価(値踏み)するか、Measurement評価ではなく、Evaluationと呼ぶべき評価をどう開発するかです。国や社会は大学の機能別分化、個性輝く大学教育、個性的な人材養成のための教育とか、教育の枠組みに個を基本として、大学や個人の多様な発展を重視しています。それは画一化、規格化、さらには管理下と呼べる20世紀型の教育の基本理念とは相容れない主張です。この主張はグローバル化や知識基盤社会が世界的に進展し、国籍を問わず優れた人材の獲得競争が激化する今日の社会情勢においては、あらゆる意味において個性的なフロントランナーを育成することがすべての大学に求めているからです。他者の模倣や他者からの値踏みに捉われることなく、自らの判断と尺度で堂々と構想し、実施し、評価し、自己運動を円滑に展開する論理的で技術論的にも満足のいく教育制度と教育内容を開拓し、実践することです。未来を拓く研究は多くの研究者を巻き込む魅力を潜在的に持っています。この魅力を可能な限り生かせば、未来志向の大学教育研究は大きなうねりとなって全学に広がるに違いありません。自学教育を開発するための研究はいろいろな切り口から着実に進められつつあります。その具体的な研究事例をここに「中部大学教育研究」11号として刊行することになりました。本号には特別寄稿として、寺昌男先生に寄せていただきました。厚く御礼申し上げます。また、本号の企画、編集そして校閲を担当していただきました坪井和男中部大学学監、大学教育研究センター長を始め関係者の皆様に対して感謝いたします。2011年12月学長山下興亜

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る