中部大学教育研究11
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4.3喫煙マナー違反場所とその背景4.3.1本学郵便局前(図1,B)今回、本学キャンパス内郵便局前において、喫煙マナーを指導・質問したケースは2件(表1,2、3)であった。当日は、雨のために喫煙者が屋根付きの喫煙所に集中していたので、喫煙所以外の屋根がある場所にて喫煙している者が多かった。今回の被質問者は雨を理由に喫煙マナーを守らなかった。その背景として、喫煙所の屋根が小さいことが考えられた。事実、その屋根を広げてほしいとの具体的な返答もあった。4.3.2体育館自動販売機周辺(図1,C)体育館自動販売機周辺でのマナー違反者への調査は6件(表1,4、43、44、46、69、70)あった。内2件(表1,69、70)は、風雨により喫煙所に雨が入ってきたため、それを避けるために雨の防げる場所(体育館自動販売機周辺)への移動であった。今後、分煙化を継続していく以上、天候に左右されないような喫煙所の設置が必要であろう。また、喫煙所での喫煙途中に自動販売機まで移動すると思われる学生が日頃から多いために、喫煙可能範囲を改めて強く周知させる手立ても必要であろう。具体的提案は後述する。4.3.327号館裏(図1,K)、50号館前旧喫煙所(図1,S)27号館裏での調査は7件(表1,14~18、41、42)あった。原因の第一に、医療従事者を養成する生命健康科学部棟の喫煙所が撤廃され、喫煙所が遠い、他の学部棟近くの喫煙所では吸い辛いということが考えられた。このことは、50号館前旧喫煙所で喫煙をしていた4件のケース(表1,59、66~68)と旧武道館前の2事例(表1,57、58)の発言からも裏付けられる。いまや医師・歯科医師をはじめとする保健医療従事者も喫煙問題に正面から取り組むべき時期を迎えている3)。保健医療従事者を養成する教職員のみならず保健医療従事者を目指す生命健康科学部の学生も禁煙に取り組まねばならない。従って、喫煙所の議論を行うことも必要かもしれないが、むしろ、早急に喫煙ルールの遵守のみならず禁煙指導を強力に推し進めるべきだろう。4.3.4第三学生ホール前(図1,L)本研究において、喫煙ルールを守らなかった学生に対する質問は第三学生ホールが一番多く、16事例(表1,19、21-24、29、37、38、42、50-54、62、76)であった。噴水の周辺および、外のテーブル周辺で喫煙しているケースが非常に多いため、喫煙可能スペースをより明確にして、マナー違反とりしまりを強化していく必要があると考えられる。現在、本学の多くの喫煙所は喫煙スペースが白いラインで区切られているが、学生はその白いラインに関係なく、喫煙所の付近にいれば違反にならないと考えていると思われる。このことは、教職員がマナー違反者に注意を促し難くし、灰皿付近にも関わらず、たばこの吸い殻が散らかっているという弊害を生じさせている。従って、本学喫煙所の全てを“柵で囲む”などして、喫煙許可スペースをより明確化することを著者達は提案したい。4.4喫煙可能場所から・喫煙可能場所への歩きたばこについて今回の調査では、喫煙可能場所を中心としたその前後での喫煙マナー違反は全体の8%を占めた(表2)。特に著者達が気になったのは、学生駐車場から移動中の歩きたばこである。たばこの身体への悪影響に対する警告以外の目的で、通学時の自家用車内の喫煙を制限するような権利は、残念ながら大学にはない。従って入構の際にたばこを消し、火のついたたばこを構内に持ち込ませないようなシステムを徹底しなければならない。また、そもそも根本的に、構内は喫煙所以外の場所は、例え屋外であろうとも、携帯灰皿を持参していようとも喫煙禁止なのである。これを確実に周知させることで、本ケースや、10%の喫煙可と思ったなどの勘違いの事例(表2)を減らせるのではないだろうか?学生が本学に入講する主要なゲートは正門と駐車場のある西門である。そこで構内の指定区域以外の喫煙は禁止である旨を、改めて伝えられるような看板やアナウンスできるシステムの設置を、我々は提案する。4.5喫煙所は少ないのか?小さいのか?「健康増進法」の影響で、日本社会における分煙化は急速に拡大したと言われる。この分煙化には面白い側面があるようで、企業内に設置された喫煙所では部署を超えた多種多様な会話が活発におこなわれ、貴重な情報交換の場になっているようでもある。すなわち、喫煙所は社交の場であると社会では位置づけられる。従って、喫煙所は広い必要はなく、数も少ない方が学部や学科を超えた社交の場となり得る。しかしながら、本研究では、喫煙所が小さい・少ないと読み取れる事例が12%に及び(表2)、喫煙所が混んでいることや喫煙所にaway感(自分の知らない学生が多い喫煙所では吸い難い)があることが喫煙マナー違反に及―32―堀田典生

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