中部大学教育研究11
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1序論WHOたばこ規制枠組条約が批准される中、国や地方自治体、教育機関等は、受動喫煙の対策を強化しつつある1)。教育関係者は国民の範として禁煙を求められている。大学においても喫煙防止や禁煙対策を徹底することが周知され、構内については、全面禁煙化が進められている1)。本学では、屋内は全面禁煙、屋外では分煙という形式をとっているため、喫煙者は基本的に屋外の指定した場所でしか喫煙することはできない。しかしながら、現状の本学ではそのルールがあまり守られていないように思われる。事実、著者達はほぼ毎日、喫煙所以外の場所で喫煙をしている学生に遭遇し、たばこを消すか、喫煙所に移動するように注意を促している。さらに、毎月教職員の有志で行われる“キャンパスマナー向上キャンペーン”は、大学キャンパスでのマナー向上を目的として行われているが、喫煙場所を守らない学生に対する指導が中心となってしまっている。どのような理由であろうとも喫煙マナーを守らないことは許されない。しかし、あまりにも多い喫煙マナーを守れない学生を前に、我々は単に注意を促すだけではなく、喫煙マナーを守らない・守れない理由は何かを知ることで、その対策を少しでも講じる必要があろう。そこで本研究の目的は、喫煙マナーを守らない理由を調査することと、その調査結果をもとに、その対策を考察することとした。2調査方法2.1調査対象中部大学春日井キャンパス内にいる学生を対象とした。2.2調査方法平成23年6月1日から7月31日までの2カ月間において、喫煙所以外で喫煙をしている学生に対して、喫煙所以外で喫煙をしている・してしまった理由を1人の調査者が口頭にて直接質問した。まず、喫煙所以外で喫煙をしていることについて注意をし、たばこの火を消すか喫煙所に移動させた。そして、『なぜ、喫煙所以外で喫煙をしてしまったのか?』と質問をした。質問に対する応答と、その場所並びにおよその時間を記録した。質問に対する応答は口語であるため、記録のためにある程度の文言を補完した。最後に、『喫煙所以外での喫煙は許されないので、喫煙所で吸うように』と伝えるようにした。学生とのコミュニケーションが充分にとれるケースでは、禁煙を勧めた。さらに、二十歳に満たない学生だと分かったときは、その旨も注意した。3結果表1に、喫煙マナー違反をしてしまった理由、それを聞いた日時、天候、場所、並びに、違反者の性別、要求的な発言と、喫煙してしまった理由から読み取れる間接的な要求をまとめた。また、図1に、喫煙マナー違反者に質問した場所を示した。喫煙マナー違反の注意を促した者の中で質問できたのは、約6~7割程度であり、男子74人、女子2名であった。学年や学部・学科などは、著者らが面識のある学生以外分からなかった。表2では、表1の喫煙マナー違反をしてしまった理由を分類した。喫煙所が小さい・少ないからという理由が12%で一番多く、“吸っても良い場所だと思った”などの勘違いから喫煙ルールを破ってしまった学生は10%であった。次いで喫煙することを我慢できなかったからという理由が9%であった。喫煙所、あるいは自分の通学用の車へ行く途中や行った後に歩きながら喫煙してしまうケース、友人の連れ添いや友人を待っている最中に喫煙マナーを守れない事例、喫煙所が自分の所属学部棟になく喫煙ルールを犯す事例はそれぞれ全体の8%であった。喫煙所にいくことが面倒で喫煙所以外で喫煙してしまったという理由は6%、屋外で気持ちよくて喫煙してしまった、ベンチがあったので喫煙してしまったなどの環境的な要因は5%であった。また、風雨をしのぐために喫煙所以外で喫煙した場合は4%だった。“なんとなく”、“いつもここで吸ってしまうので”など、他の理由とグループ化できない・し難い場合は―29―中部大学教育研究№11(2011)29-33大学生が学内で喫煙マナーを守らない・守れない理由-その対応策と考察-堀田典生

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