中部大学教育研究11
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している」付近から、「どちらともいえない」と「どちらかといえば満足している」との中間付近まで、低下したことを意味する。また、第1回調査における満足度と、第2回調査における満足度との間の相関係数は、r=.36(p<.001)という値であった。これは有意な相関係数ではあるものの、高い値であるとは言えないものであった。このことは、学部・学科選択の満足度が1年間に比較的変動する傾向にあることを示唆する。3.2学部別の満足度の変化学部別に、第1回調査と第2回調査における満足度の平均値を描いたものが図1である。学部(7水準;被験者間要因)×調査時期(2水準;被験者内要因)の混合計画の分散分析を行ったところ、交互作用が有意であった(F(6,1601)=5.20,p<.001)。現代教育学部(0.92低下)、人文学部(0.69低下)、工学部(0.65低下)については、1年間に比較的大きく満足度が低下していた。それに対して、国際関係学部については、第1回調査と第2回調査において大きな低下は見られなかった(0.17低下)。これまでに、小塩ら(2008b、2010)では、学部や学科別の満足度を検討してきた。本研究で明らかにされたことは、学部によって入学直後の満足度からの変化の程度が異なるということである。入学後の満足度の変化に対しては、各学部のカリキュラム等の内容が大きく反映すると予想される。入学後の変化の様相については、さらに継続してデータを収集していく必要があるだろう。3.3悩み内容と満足度の関連第1回、第2回調査における満足度と、第2回調査で得られた悩み内容との関連を表2に示す。表2悩み内容と満足度の関連第1に重要な点は、入学直後の満足度が、1年後の悩み内容に関連しているという点である。「3.所属学部・学科」「13.本学への入学」については、いわば不本意入学に関連する悩みを表している。入学時の進学に関する悩みを1年後も持ち越し、そのことが満足度の低下に寄与している可能性が示唆される。また、―25―大学入学時と1年後の満足度図1学部別の満足度の変化

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