中部大学教育研究11
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ングが臨床心理学の一部であるという正しい認識が広まったためだと考えられる。したがって、両者を併せた臨床系に関心のある入学生比率は、かなり急速に減少したと見なすことができる。一方、図2をみると、2002年度の時点では実験系の領域の中で教育心理学に関心のある入学生の比率が突出していたが、年々他の領域の比率も増加し、2011年度にはかなり多くの領域に分散したことがわかる。2)特に、2009年度、2011年度の時点での社会心理学に関心のある入学生の比率はかなり高く、臨床心理学に関心のある学生の比率とほぼ等しくなっている。また、2011年度に認知心理学という一般にはなじみのない領域の心理学に関心のある入学生の比率が14%に達していたことも驚くべきことである。実際、2002年度の臨床系の3領域に関心のある入学生の合計比率は71%と非常に多かったのに対し、2011年度にはそれが32%に低下した。一方、実験系の領域に関心のある入学生の合計比率は2002年度の時点では6領域合わせてもたったの26%であったが、2011年度にはそれが58%にまで上昇していた。臨床系と実験系の比率が年度でどう変化したかを調べるために、臨床系の3科目と実験系の6科目の10年間の比率をχ2検定したところ有意で(χ2(9)=46.94,p<.01)、比率は年度間で変化していた。そこで、Ryan法で各年度対の下位検定を行ったところ、2002年度と2008年度(χ2(1)=10.33,p<.05)、2009年度(χ2(1)=17.28,p<.01)、2011年度(χ2(1)=23.03,p<.01)の間、2010年度と2009年度(χ2(1)=14.18,p<.01)、2011年度(χ2(1)=20.22,p<.01)の間、2003年度と2009年度(χ2(1)=14.20,p<.01)の間、2005年度と2009年度(χ2(1)=12.73,p<.01)の間、2006年度と2009年度(χ2(1)=12.63,p<.05)の間に有意差が認められ、2007年度、2008年度前後を境として、実験系に関心のある入学生の比率が増大したことがわかった2)。この結果は、新設当時の一時的な臨床心理学ブームがやや治まり、様々な領域に関心のある入学生が増え、偏りのない状態に近づいてきたことを示している。そしてこのことは、中部大学心理学科を、様々な領域の心理学を満遍なく教育する正統派の心理学科にしたことが適切であったことを示している。3.2コンピュータに対する態度表1に、26個の質問項目と、10年間924名の評定平均値とSDを示す。これを見ると、コンピュータの有用性を示す項目の評定平均値が比較的高く、不安を示―14―水野りか表1コンピュータに対する態度の質問項目と10年間924名の評定平均値とSD

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