中部大学教育研究11
19/134

科または教職に関する科目』の必要単位を大学院で取得することで高等学校教諭専修免許状「公民」を取得することができる。中学校教諭一種免許状「社会」を取得済みの者は同様の方法で中学校教諭専修免許状「社会」を取得することができる。このように、中部大学の心理学科および心理学専攻の卒業生・修了生には非常に多くの進路選択肢がある。そこで新入生がどのような進路を希望しているのかを明らかにし、希望に即した進路指導の指針としたいと考えた。1.4職業知識希望する進路とは別に、その進路・職業について正確な知識を持っているか否かを明らかにする必要がある。なぜなら正しい知識を持っていなければ適切な進路を希望しているとは限らないからである。また、2000年代前半は、臨床ブームに乗じてマスコミ等で必ずしも正確でない情報が報道されることも多かった。そのため、新入生の職業知識にも誤りや偏りがあることが懸念された。そこで、アンケートで新入生の知識量を調査し、生活指導や入門講義でそれを補う情報提供をしていきたいと考えた。2方法2.1調査協力者2002年度から2011年度までの中部大学心理学科新入生で、協力者数は2002年度58名、2003年度93名、2004年度85名、2005年度94名、2006年度98名、2007年度95名、2008年度107名、2009年度98名、2010年度124名、2011年度72名の、計924名であった。2.2調査日毎年度、新入生必須のゼミナール(旧フレッシュマンゼミA、現スタートアップセミナー)の4月の第1回講義日に実施した。2.3調査項目フェイスシートでは、コンピュータの使用経験や携帯電話所有の有無、自宅でのインターネット接続の有無等、当該年度に参考としたい学生のIT環境についての質問項目を1~18項目用意し回答させたが、これらの項目の内容は毎年若干異なったため、今回の分析からは除外した。1)新入生の関心領域「どんな心理学が学びたくて入学を決めましたか。名称か内容を簡単に書いてください。」という質問項目で、回答は複数可能の自由記述とした。2)コンピュータに対する態度コンピュータに対する興味、不安、学習意欲、有用感に関する28項目であった。ただし、項目1は2003年度までは「自分のコンピュータがほしい」であったが、新入生のノートPC所有が義務化されたため、2004年度からはこの項目を「自分のコンピュータが持ててうれしい」に変更した。加えて、項目23は2003年度までは「電話よりメールの方が好きだ。」であったが、所有したノートPCでメールを使うことが多くなったため、2004年度からはこの項目を「コンピュータでインターネットを活用できるようになりたい。」という項目に変更した。よって、本論文では10年間の比較を行うために、以上2項目を除いた計26項目を分析の対象とした。回答法は、「1.全然そうではない」、「2.あまりそうではない」、「3.どちらとも言えない」、「4.ややそう」、「5.非常にそう」の5件法であった。項目の詳細は結果と考察の表1を参照されたい。3)希望する進路各種免許・資格の取得、大学院進学、一般企業就職、公務員希望等の12項目で、このうち項目11と項目12の教職に関する2項目は2004年度から追加されたものだが、8年間の比較のために分析の対象に含めた。回答法は「1.考えていない」、「2.あまり考えていない」、「3.どちらとも言えない」、「4.やや考えている」、「5.考えている」の5件法とした。項目の詳細は表3を参照されたい。4)職業知識学生になじみのある臨床心理士、スクールカウンセラー、公務員等の専門職に関する知識を問う9項目で、「1.全然知らない」、「2.あまり知らない」、「3.どちらとも言えない」、「4.少し知っている」、「5.よく知っている」の5件法で回答させた。項目の詳細は表4を参照されたい。以上の他、心理学以外の様々な学問領域への興味を尋ねる9項目が含まれていたが、あくまでも参考質問であったため本論文の分析では割愛した。よって本論文で分析の対象としたのは、1)の自由記述1項目と、2)の26項目、3)の12項目、4)の9項目の、計48項目である。2.4手続き全項目を冊子にした質問紙を配布し回答させた。回答に要した時間は約15分、調査の配布から回収までの時間は約20分であった。―12―水野りか

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る