中部大学教育研究11
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た。なお、イギリスの家庭では、子供に満足な食事を与えていないことが問題となっていた。夕食などは、チップス(日本でいう、ポテトフライ)だけを与えることも多いらしい。また、お弁当もパンにジャムのみであり、小さいポテトチップスの袋を持っていく学生が多い。「イギリスの食事は、美味しくない」という評判を聞いていた。イギリスでは、フィッシュ&チップスが有名で、大きいコッド(タラ)の魚フライと大量のチップスがセットで売られており、それが人気である。私はとてもおいしく感じたが、量が多く、飽きる味であった。また、イギリスのストアーにある缶詰などは、あと少し塩味があれば美味しいというレベルであった。家具付きの我が家に炊飯器があったので、それで米を炊いて、主に日本食を食べていた。ラフバラにはアジアフードの店があり、中国食材、韓国食材と共に日本食材も売られていた。ただし、種類は少なく、比較的高価だった。また、イギリスでは、よく中国料理店、インド料理店に行っていた。料理の持ち帰り(TAKEAWAY)もできるので、大変重宝した。中国料理はどこに行ってもおいしいと感じた。2.4イギリスでの生活を終えるにあたってラフバラを去るときに問題となったのが、公共料金の支払いである。公共料金は郵便局を使って支払っていたが、3月分としてわずかな金額が残った。日本に帰ってから、支払うことができるものと考えていたが、住宅をすでに引っ越している、日本のカードである、窓口の係が海外からの入金に慣れていないなどの理由で、その支払いが難しかった。同じように留学していた家族は、帰国前に精算を済ませるため早めに家を出て、B&B暮らしをしていた。もう一つの家族は、日本でも開設できるシティーバンクの口座から公共料金を支払っていたので問題はなかった。私は、会社の窓口と電話やメールでやり取りをしていたが、送金が難しかったので、最後は塩野先生を頼ってしまった。日本で海外の口座を開いておくことが賢明と思われる。3ラフバラ大学での研究活動についてラフバラ大学では、CivilandBuildingEngineeringの学科にお世話になった。本学科は、土木工学と建築学の混成学科である。私は、主として「植生のある流れ場における乱流構造の計測」を行い、その他にも、塩野先生が開発したSKMや3次元の数値解析モデルを学習した。これらの日本河川への適用や私の研究への展開はこれからの課題である。3次元の数値解析モデルは、バーミンガム大学のフィオナ先生に教えてもらった。これは、塩野先生へお願いし、フィオナ先生に連絡して、個人的に活動した結果である。今にして思えば、積極的に活動することが非常に大事であると感じている。図3に学科の建物を、図4に研究室を示す。100名以上が活動できる研究室の一角に席をもらい、オープンな状況の中で研究活動を行った。このような大規模な研究室での活動は初めてであったが、職員の雰囲気も良く、非常に楽しく過ごすことができた。ここでは、ラフバラ大学の滞在時期で感じた、イギリスの教育システムについて触れたいと思う。9月に入ってから、塩野先生から3人の卒業研究の学生を受け持つように依頼された。ただし、実際には、彼らの相談に乗ってほしい、くらいの要求であった。日本の卒業研究は、積極的に教員が学生を指導する。しかし、イギリスでは、学生が主に活動する。もちろん、教員は学生の研究テーマの方向性などの指導は行うが、具体的な課題の設定や活動準備などは、学生が行う。ただし、学生は、実験や解析などの使用方法に不慣れであるので、テクニシャン(技術員)がサポートしている。実験棟では、14名ものテクニシャンが学生とともに活動していた。すなわち、学生の自主性を育む卒業研究があり、そのためのサポート体制がしっかりしているという印象を持った。この点は、日本とイギリス―121―イギリスのラフバラ大学での活動報告図3CivilandBuildingEngineeringの建物図4デスクから見た研究室

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