中部大学教育研究11
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険の手配と住宅、車の手配である。家族の健康保険は、本学の中部大学サービスでお願いした。5人家族分で40万円くらいかかってしまった。なお、イギリスでは、近くの病院(公的な診療所)に登録して医療費は無料であった。1度長男が病院にかかったが、大事にならずに済んだ。したがって、日本で加入した保険は使用しなかったが、安心を買ったと考えている。なお、イギリスの医療機関はあてにならないという事例を目の当たりにした。ラフバラ大学に日本から留学してきた家族(前述のスポーツ学部に留学)の一番下の5歳の子が9日間高熱を発した。医療機関は、頼んでもレントゲンをとらず、解熱薬を飲んでいれば問題ないという診断だった。そこで、家族が心配し、車で2時間かけてロンドンの日本人が経営する病院へ行ったところ、肺炎という診断であり、専用の注射を受けて翌日に熱が下がったようである。住宅は、ラフバラ大学が所有する物件をお願いする予定であったが、ちょうど5人家族用が無かったことから、塩野先生が集めた一般の不動産の情報を基に、渡英前に決めた。住居はタウンに近く、小学校や中学校にも近かった。この件について、現地の日本人会の方から、「教授がそんなことはしない。どういう関係なの?」という問いがあったが、塩野先生のお人柄であり、非常にありがたく思っている。普通は、安価なB&Bに1週間~2週間宿泊し、物件を直接見て決めるようである。また、イギリスでは車が大変重宝した。7月にラフバラの日本人会2)に「ラフバラで生活します。お世話になります。」という連絡を入れたが、その後、「中国へ帰る学生が車を売りたがっているが、購入しますか?」という返事があり、良い状態という情報を信頼して、購入を決めた。ただし、中国の留学生は8月1日にイギリスを発ち、私が8月1日に日本を発つので、車の受け渡しができない。このときも、お金を塩野先生にお送りし、支払ってもらった。なお、イギリスは車のディーラーもあるが、ネットによる個人売買も広く普及している。マニュアル車が普通であり、オートマ車は稀であった。私の車は慣れ親しんだオートマ車であり、ラッキーであった。このような状況を振り返ると、日本人会との付き合いは非常に貴重であったと思う。妻は日本人会の全体的なとりまとめをしていた女性と仲良くしていたし、日本人会の家族にお世話になったこともあった。小さな町だからこそ、このような日本人会の結束が強いものと考えるが、海外研修の方や留学生は、日本人会を活用すべきであると思った。さらに、数々のご助言をいただいた塩野先生にも本当に感謝申し上げたい。2.3イギリスでの生活についてラフバラ到着後、住居や車は使用可能であったが、車の保険に入っていなかったので、まず保険会社を探し、自動車保険加入の手続きを行った。その後、家の鍵を受け取り、車にて我が家へ向かった。住宅業者から「住居登録、水道会社への連絡は済ませているが、電気会社やガス会社などの連絡は個人で行う必要がある」と言われたので、それぞれの会社に連絡した。しかし、英語での電話の受け答えに慣れていなかったことから、応答に非常に苦労した。同じように日本から留学している家族に聞いても、皆苦労したようであり、公共料金の設定に関する電話での応答は、イギリス生活の第一関門のようである。なお、塩野先生に聞いたところ、「みんなそうである。最後は、私がサポートしている。」とのことであった。我が家には、3人の子供(留学当時、小学校5年生、2年生、1年生)がいる。彼・彼女らの誕生日が8月以前であるので、イギリスでは2つ上の学年となる。したがって、長男は、イギリスでは中学1年生となった。帰国後の現在では小学6年生である。さて、9月の学校が始まる時期に、小学校および中学校の事務室を訪れ、入学手続きを行った。学校の指導により、まずは、英語が流暢に話せない子供のためのスクール、LENAP(TheLoughboroughEnglishforNewArrivalsProject3))に進んだ。これは、ラフバラ特有の制度である。生活(遊び)の中で英会話を学び、英語に慣れた後で、それぞれの学校に進む。LENAPは、数名のクラスであり、次々に子供が入れ替わっていた。我が家の子供たちは約3か月滞在したが、6か月くらい滞在する子供もいるようである。その後、12月から翌年の3月まで、それぞれ中学校、小学校で過ごした。食事は弁当、給食どちらでも選ぶことができ―120―武田誠図2ラフバラの我が家(3階建て)

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