中部大学教育研究11
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いてフィードバックコメントを作成させた。偏差値の算出(第8回・第9回)第8回に過年度に実施した本講義の中間試験の素点を用いてヒストグラムの作成を行った後、代表値等の記述統計学の講義と演習を行った。第9回ではさらに偏差値について解説を行った後、クラスの中間試験の平均点と標準偏差の値を用いて、自身の中間試験の偏差値を算出させた。偏差値を用いることで自身の中間試験の出来についての指標を得ることとなった。誤答分析(第11回)第3回に実施した小テストの各個人の解答(ただし過年度生のもの)を使用して誤答分析の実習を行った。誤答分析とは、誤答の理由について検討する分析である。学生は誤答分析を行うことによって、正解かどうかだけではなく、間違えた場合にその理由について考えることも必要であることを認識していた。自身の受講態度の自己評価(第12回)指導過程における評価の1つとして自己評価について解説した後、教員の提示したルーブリック評価基準に基づいて自身の講義に対する取り組みについて自己評価を行わせた。自己評価はルーブリック評価基準に基づく評価に加えて,その評価にした理由の記述も求めた。講義内容の理解に対する自己評価およびフィードバックコメントの作成(第15回)期末試験は第14回に実施しているため、第15回では答案の返却と解説、および試験範囲外とした内容の講義を行った。その後、講義全体を振り返って、各講義内容について振り返り、講義内容ごとにフィードバックコメントを作成した。2.3講義運営の補助として用いるツール名前カード初回の講義時に情報カードを配布し、学籍番号と氏名、ふりがなの記述を求め回収した。前半回の講義では、学生を指名する際に用い、指名される学生に偏りがないように配慮した。第4回のロールプレイの教師役・学生役の学生の指名にも用いることで、学生は指名が恣意的でないことを理解し、指名を拒否する学生はいなかった。また、第2回のジグソーグループの編成ではOHCを用いてスクリーンにカードを投映し、自分のグループを確認させた。「小テスト」に割り当てられた学生にカードを渡し、同じグループの学生が誰かを間違えないようにした。また、ジグソーセッション中はそれぞれの名札として使用した。大福帳大福帳は、学生の記述欄と教員の記述欄を授業回数分印刷したA4版のシートである。学生は講義終了時に大福帳へ記入し、教員は次回の講義までに内容に目を通し返信を記述する。学生は,次の講義にて教員の記述を確認する。大福帳への講義終了時の学生の自由記述と、それに対する教員のフィードバックの記述を毎時間繰り返すことによって、教員と学生の双方向性をもたらす。大福帳の活用方法と効果については、太田(2010)などに詳しい。画像入り名簿大福帳を利用する際の欠点として、紙上のコミュニケーションであるため、意識して学生の顔との対応を図らなければ、誰がどの内容について記述しているのかが一致しないことがあげられる。そのため、画像入りの名簿を作成して、大福帳への返信を記述する際には傍らに置いて、誰が記述したのかを確認するよう努めた。LMS(Blackboard)問題投稿のシステムとして利用する他に、成績の公開も行った。中間試験、期末試験、平常点の素点および合計点を公開し、自身の最終評価の内訳を確認できるようにした。また、講義資料(講義スライド、サブノート)の公開も行い、問題投稿と合わせて学習ツールとして活用できるようにした。なお、本講義におけるLMSの活用の詳細については太田(2008)にて紹介している。3実習・演習のねらいと効果3.1クラスの雰囲気づくり講義初回から第4回までは、クラスの雰囲気を盛り上げることを意識した演習・実習を取り入れている。まず,講義における発問の数を多くし、できるだけ学生の発言を促すようにした。学生が発問に対して回答できるように、ワークシートへの記入や小テストへの解答を発問の前に行い、発言内容をその場で考え込むことのないように配慮した。第2回のジグソー学習や第4回のあいさつのロールプレイは、他の学生との交流や他の学生に注目することを促す実習であり、クラス内での活動に積極的に参加させることにつながっている。授業後の大福帳の記述には、今まで話したことのない人と話せてよかったという記述が多くみられ、クラス内の交流を肯定的にとらえる学生が多かったことがうかがえる。また、第3回の小テストでは、答案を交換させた上で答え合わせを行った。答え合わせは学生を座席順に指名し、手元にある他の学生の解答を発言させた。そのため、間違えることを恐れて発言を委縮する学生は―115―初年次教育を意識した授業づくり

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