中部大学教育研究11
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3結果今回は対象者10名のうち,臨床実習の成果と職場適応との間に関連があると思われた2名を抽出し,分析結果を比較した。また質問内容に関して,比較が行いやすいよう<職場状況><学校生活><臨床実習><後輩へのアドバイス>という4つのカテゴリーに分けて検討した。2名の対象者の分析結果および図式化を以下に示す。対象A:(図2)<職場状況>急性期病院に就職。就職1年目は上司との人間関係において『きつかった』,『うまくいかなかった』と語った。その後,話し合いが持たれたこと,上司が替わったことで人間関係は改善し,仕事もやりやすくなった。仕事内容について,就職当初は患者さんの前になると頭が真っ白になり,どうすれば良いのか分からない状態であった。<学校生活>学校の先輩とはコミュニケーションが取れていたつもりであったが,実習の指導者などさらに年上の人と接することは苦手であった。また臨床に即した授業を受けたかったと学校への要望があった。<臨床実習>実習は『そつなくこなした』と語った。実習を通して必要最低限の努力はしたが,最後の実習で消極的等の理由で成績が可と評価され,そつなくこなしていた実習を指導者に見透かされた。実習はもっと頑張っておけば良かったと振り返った。実習指導者と良好な人間関係が形成できていれば,就職当初の上司との関係は違うものになっていたかもしれないと語った。<後輩へのアドバイス>体調を崩さないこと,時間を大切にして勉強すること,全力で頑張ること,実習先の指導者と良い人間関係を作ることと語った。対象B:(図3)<職場状況>小児施設に就職。就職1年目は,職場の人間関係は良く,健康面も問題なかった。仕事内容について,『見るポイントが分からなかった』,『うまく治療できなかった』と振り返ったが,最後の実習が小児施設であったことが役に立っていると語った。<学校生活>『学校が好きだった』と語った。1年生でレポート提出や挨拶について厳しく指導されたことが,社会人になって役立っていると振り返った。―110―矢澤浩成・米澤久幸・宮本靖義・武田明・福田信吾・藤部百代表2断片化,コード化の例

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