中部大学教育研究11
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意に委ねられることを回避し、共通の目的意識と内容・方法の共有をはかることができ、一定の成果を得ることができたと考える。5.3本学科における初年次教育の今後と課題以上の分析結果から、本学科の初年次教育プログラムは「Ⅲ.学習の技能と基盤」を高めること、入学時に自己教育力や自己管理能力が低い学生を高めることに効果があったと考える。初年次教育によって学生の自己教育力や自己管理能力がある程度促進するとしても、これらは各科目の学習を通して継続的に練磨されるものである。最終的には4年間の学士課程教育修了時に、何ができるようになっているのかというアウトカム評価の文脈の中で検討する必要がある。6結論保健看護学科のスタートアップセミナーの効果を「自己教育力」、「自己管理能力」の2側面から分析した結果、以下のことが明らかになった。1.スタートアップセミナーは、自己教育力の中でも「Ⅲ.学習の技能と基盤」を高めることに効果があった。2.スタートアップセミナーは、自己教育力得点中群・低群の学生の学習スキルや大学生活を送ることへの意欲を高めることに繋がった。一方、高群の学生の自己教育力に変化は認められなかった。3.スタートアップセミナーは、自己管理能力の低い学生を高めることに効果があったが、高い学生は有意に低下していたことより、大学生活をマネジメントしていく困難性が示唆された。謝辞本調査にあたりご協力いただきました本学保健看護学科の学生の皆様に心より感謝申し上げます。引用文献1)菊池重雄:初年次教育の実際-玉川大学における具体的な展開-.看護教育,Vol.50(5),382-387,2009.2)山田礼子,杉谷祐美子:初年次教育の「今」を考える-2001年調査と2007年調査の比較を手がかりに-.大学教育学会誌,30(2),83-87,2008.3)保田卓:高校生は大学に何を求めているか-志望校設置者別・学力別比較-.大学教育学会誌,29(2),131-136,2007.4)山田礼子,相原総一郎,沖清豪他:大学間・大学内における教育効果の比較検討-JCSS2005データから-.日本教育社会学会大会発表要旨集録,56,119-122,2004.5)前掲載2)6)西村千代子,奥の茂代,小林洋子他:看護婦の自己教育力.日本赤十字幹部看護婦研修所紀要第11号,9-39,1995.7)高橋浩之:健康教育への招待,大修館書店,1996.8)前掲載6)9)前掲載7)10)堀井直子,近藤暁子,三浦清世美他:保健看護学科における「教育目標の形成評価システム」の導入-学生と指導教授からの評価-.中部大学教育研究,No10,109-116,2010.11)牧野典子,中山奈津紀,堀井直子他:生命健康科学部学生の自己教育力-第二報入学後1年間の自己教育力-.中部大学生命健康科学部研究所紀要第4号,21-28,2008.助教看護実習センター山口直己准教授生命健康科学部保健看護学科堀井直子教授生命健康科学部保健看護学科牧野典子教授生命健康科学部保健看護学科城憲秀助手看護実習センター杉田豊子教授生命健康科学部保健看護学科足立はるゑ―100―山口直己・堀井直子・牧野典子・城憲秀・杉田豊子・足立はるゑ

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