GLOCAL Vol.4
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2014 2014 Vol.4Vol.42014 Vol.4大学開学50周年記念号大学開学50周年記念号大学開学50周年記念号21国際人間学研究科 歴史学・地理学専攻准教授篠宮雄二(SHINOMIYA Yuji)1995年名古屋大学大学院文学研究科史学地理学専攻博士後期課程満期退学。修士(文学)。名古屋大学大学院文学研究科講師を経て現在に至る。専門は日本近世史で、職人を対象に経営の特質や職人集団を介しての地域や国家との関係性を分析。近年は河川漁業など小規模な生業にも関心を広げている。著書として『新しい近世史』(第3巻、第4巻、共著)、『身分的周縁と近世社会』(第2巻、共著)などがある。歴史学・地理学専攻の特色とこれから6年間の教育・研究活動を振り返って力の向上や社会人としての体験的知識・教養を学術的に体系化するため、教員の専門に即した日本近世地域史・日本近代外交史・日本思想史・比較経済史・現代政治史・東アジア思想史・科学技術史をテーマとする歴史学専門研究演習、歴史地域論・日本地域産業史・都市地域構造論・都市地域再生論・空間分析論をテーマとする地理学専門研究演習といったカリキュラムを用意し、学生の専門に対応した研究指導を行っています。 このような教育カリキュラムに対応するため歴史学分野9名、地理学分野5名の計14名の専任教員に加え、他専攻の教員の協力を得ながら多彩なテーマを掲げた授業を開設しています。院生たちは指導教員のアドバイスを受けながら、自分の研究テーマや問題関心にしたがって授業を選択し、少人数クラスのもと先に掲げた教育目標に向けて勉学と研究に取り組んでいます。歴史学・地理学専攻の6年間 冒頭で述べたように歴史学・地理学専攻がスタートして6年が経ちました。この間、前期課程では歴史学コース7名、地理学コース3名の修了者を出しており、内1名が後期課程に進学しています。そして現在、前期課程には6名の院生が在籍しています。 院生の多くは歴史学・地理学専攻が基礎をおく中部大学人文学部歴史地理学科を卒業しはじめに 歴史学・地理学専攻は2008年に前期課程がスタートし、2010年には後期課程が設置された大学院国際人間学研究科のなかでは最も新しい専攻です。中部大学設立50周年という節目にあたり、いわば新顔の歴史学・地理学専攻の特色を皆さんに紹介し、あわせて開設から6年間の活動を踏まえて、この専攻が進むべき将来の方向性を語ってみようというのが今回の企画です。 以下では、まず私からこの専攻の特色とこれまでの教育・研究活動を紹介した上で、専攻全体としての今後進むべき方向性について私なりの「夢」を語ってみたいと思います。さらに、地理学担当の山元貴継先生、歴史学担当の水野智之先生からそれぞれの研究・教育の紹介とこれからの「夢」を語っていただき、歴史学・地理学専攻の今後の可能性を探ってみたいと思います。歴史学・地理学専攻の特色 私たちの専攻の教育目標は、歴史学と地理学というそれぞれの学問領域における方法論や研究成果を踏まえたうえで、時間的意識と空間的意識を統合した知識と教養を習得し、高度な知識情報社会に対応できる研究者や高度専門職業人を育成することにあります。 この教育目標を達成するために前期課程では、入学する学生が「歴史学コース」「地理学コース」のいずれかを選択し、まずは主たる専攻としての歴史学(あるいは地理学)についての高度な知識と専門的な研究方法を重点的に習得することになっています。その上でいわば副専攻として地理学(ないしは歴史学)についても特論などの授業を通じて、高度な知識とともにその分野に固有な分析視角や方法論を学び、時間・空間の両次元からグローバル化とローカル化が同時進行する現代社会を的確に把握・認識できる人材の養成を目指しています。 「歴史学コース」は、グローバル化する現代社会のなかで、世界における日本の位置づけを重視しています。日本の古代から現代まで各時代をカバーするとともに、ヨーロッパ史、アジア史などの地域史、思想史・科学史・文化史などの分野史を配して、日本を軸とした広義の関係史的研究に重点を置いています。 一方、「地理学コース」は、人間と地域とのかかわりに着目し、これらを人文・社会学科学の手法を用いて解明し、地域が抱える諸問題の解決を目指す視点を重視しています。経済・産業・歴史・都市地理学といった人文地理学分野に加え、地理情報、都市政策、地域政策などの応用科目を配し、人文・社会現象を研究対象とする人文地理学研究に重点を置いています。 さらに後期課程では、より専門的な研究能

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