GLOCAL Vol.4
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8いているようです。 私の夢なんですが、いつか留学生を含めた大学院の同窓会をつくりたいですね。要望はあるんじゃないでしょうか。中国支部やネパール支部などができるといいですね。 日本に来る留学生の中には、母国に帰って、日本と関係する企業で勤務している人たちがいます。自分で起業して、日本に研修生を送り出す会社で働いている卒業生もいます。もちろん、日本の企業に就職する人もいます。私の知っている院生は、日本の証券会社の系列会社で働いています。 こうした人たちのためにも、同窓会というかたちのネットワークをつくれたら、と思うのです。中山 紀子国際関係学部 教授(文化人類学)●おもしろかったですよ。昨年に博士号をとったT君の場合、私の専門領域であるトルコに関する論文だったので、私自身にとっても興味深かったです。トルコ国内のウイグル移民集団に関する研究だったのですが、私が会ったことのない人たち、私の知らないトルコについて、学ぶことができました。 審査では、宮本正興先生と堀内勝先生(お二人とも中部大学名誉教授)が、実に懇切丁寧なコメントをよせてくださいました。こうした大御所たちが、T君の論文をおもしろがって下さっただけでなく、公開審査会では他の参加者も、和やかな雰囲気の中で、たくさんの質問やコメントをよせてくれました。うれしかったですね。 学生の指導をしていて強く思うのは、「他流試合」の大切さです。院生にも学部生にも、「外に行け」といつも言っています。T君は、よく外に他流試合に行きました。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所が主催した、イスラーム研究を目指す院生のための教育セミナーに参加したり、日本中東学会で発表したりしました。 私自身、学生時代に外に出ることの必要性を感じていました。よその大学の授業に出たりしましたよ。違う雰囲気を知ることは大事です。私は、大阪外国語大学で修士課程を終えた後、総合研究大学院大学(国立民族博物館)の博士課程に行きました。そこで開かれていた「論文ゼミ」が、とても自分のためになりました。様々な分野の研究者と院生が参加するのですが、自分とは違う専門領域をもつ人たちにも分かってもらえるように話さなければなりません。難しかったですが、とても勉強になりました。 学生を外に行かせたいですね。狭い世界に閉じこもっていたらダメです。これまで指導してきた院生は、中部人類学談話会などで発表してもらいました。学生同士で企画を立てて、何かつくったっていいじゃないですか。杓谷 茂樹国際関係学部 教授(文化人類学)●博士後期課程に在籍していた金澤雅子さんが、メキシコのグアナファト大学で、日本語教員の職を得たのです。今年に入って決まったのですが、向こうで活き活きと働いているようです。 もともと金澤さんは、「メキシコの建築におけるイスラムの影響」という、たいへんユニークなテーマで研究を進めていました。度々メキシコに渡って、現地調査を行い、滞在歴はかなり長期にわたります。今は新しい仕事で忙しいようですが、研究を続けて博士論文を早く完成させてほしいものです。 最近は、金澤さんのように自分で研究やネットワークをマネジメントできる人が、以前よりも少なくなってきたような気がします。私は、修士(博士前期課程)に入った学生に、「まず名刺をつくりなさい」、と言うんです。大学院生であっても、一人の「研究者」なんだ、という意識をもってほしいのです。 私自身は、学部を卒業して会社勤めをした後に、大学院に入りました。とても楽しかったですね。学部時代は、「勉強させられている」というような気持ちでしたが、大学院に入ってからは、「自分で工夫して勉強している」という実感がありました。ラテンアメリカの研究者が大学に少なかったので、外に出てあちこちに教えてもらいにいきました。 それから、大学院生同士で、よく話をしましたね。頻繁に飲みに行きましたし、朝まで議論をすることもありました。今の院生も、院生同士でよく話してほしいですね。様々な分野の人と話すことで、世界が広がっていきますし、知識がつながっていくのですから。○指導された学生が、メキシコの大学で活躍していますね。○指導された学生が、昨年に博士号をとりました。博士論文の指導はいかがでしたか?国際関係学イスタンブルの街角にてメキシコのチチェン・イツァ遺跡公園にて

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