GLOCAL Vol.2
11/24

2013 Vol.22013 Vol.29国際人間学研究科 歴史学・地理学専攻三浦陽一(MIURA Yoichi)1980年一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。『吉田茂とサンフランシスコ講和 上・下』(大月書店)『戦後改革と逆コース』(共著)(吉川弘文館)翻訳に『敗北を抱きしめて 上・下』(岩波書店) ymiura@isc.chubu.ac.jp(ウォーラーステイン)でこの問題を考えるべきだと思う。 例えば、少し遡れば、1990年から今までの日本をめぐる国際関係史は、「戦争と二つの大震災の時代」として整理できるかもしれない。 阪神淡路大震災の前後を見てみると、「湾岸戦争(1990年の経済制裁措置から1991年の空爆へ)~阪神淡路大震災(1995/ 1/17)~地下鉄サリン事件(1995/3/20)~沖縄米兵少女暴行事件(1995/9/4)~周辺事態法(1999/5/18)~アメリカ同時多発テロ(2001/9/11)~テロとの戦い(2001/10−継続中)~「日米同盟:未来のための変革と再編」(2005/10)」といった流れがある。 東北地方太平洋沖地震についてみると、「チュニジア、ジャスミン革命(2010/ 12/18)」~「エジプト、ムバーラク大統領辞任(2011/2/11)」~「沖縄はゆすりの名人」発言が発覚(ケビン・メア前駐沖縄総領事)(2011/3/6)~東北地方太平洋沖地東日本大震災のシンポジウムを開催 2011年3月の東日本大震災から1年9ヶ月が経った。中部大学国際人間学研究科では、今の時点で私たちは何を考え、どうすべきかを語りあうシンポジウムを企画した。当日は内外から約70名の参加をえて、この未曾有の災害・事件についての認識を深めあう良い機会となった。 最初に、二人のパネリストから報告をいただいた。■まず、吉住隆弘氏(中部大学国際人間学研究科准教授・心理学)から、「被災地をめぐって感じ・考えたこと—支縁という支援について」と題して、民間の支援団体と共に宮城県沿岸部の二つの被災地を訪問し、仮設住宅をめぐりながら被災者の方と交流した経験をもとに、今後被災地でどのような支援が必要かについて、次のように報告していただいた(写真1,2)。 「被災者との話から感じられたのは、被害の程度や所有する社会的資源に被災者間で差がみられ、そのことが復興への歩みに影響を及ぼしていることであった。被災者間の格差は、コミュニティの統合性を弱め、被災者相互のサポートを抑制しているようにも感じられた。 一方、支援団体が行った交流会では、被災者どうし歓談する場面や日々の必要な情報を交換する場面も多く見られ、単なる娯楽というだけでなく、コミュニティ維持という点で、交流会は大きな役割を担っているように思われた。 対人的支援においては、これまでの個人的な支援に加え、居場所作りと当事者間の関係性作り、つまり「支縁」とでも呼べるような、コミュニティ全体にアプローチする視点が必要であると感じた。」戦争と二つの大震災の時代■次に、原田太津男氏(中部大学国際人間学研究科教授・国際政治経済学)から、「日本の経済主義は宿痾なのか~3/11後に感じるその根深さ」と題して、次のような報告をいただいた。 「3/11以降の日本を論じる際、日米関係を「基軸」とする国際関係の広がりのなかで、原子力村の利権構造やもたれあいが批判されることが多い。私はもう少し違う「時空」ポスト3・11 震災後の人と社会写真1写真2

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る