工学部パンフレット
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30教員紹介講 師教 授人の身体運動を解明しロボットの制御に組み込む“人間機械システム工学”が、大日方教授の専門分野だ。たとえば、下肢に障がいがある人の歩行をアシストするロボット。「人の脊椎中には、歩行などの周期的な運動を制御する神経回路があります。そのメカニズムを数理モデル化した“神経振動子”をコンピュータに組み込み、制御を行っています」。この神経振動子による制御、実は走る動きにも最適。そこで大日方教授がこれから本格的に研究に取り組もうとしているのが、“走れる二足歩行ロボット”だ。人と同じ動きを、より高い能力で行えるヒューマノイドが実現すれば、被災地など過酷な環境下でも活用できる。「これからのロボットは、どんどん生活に入り込んで人を助けるものになっていきます。機械や電気、情報など幅広い工学の基礎を理解したうえで、そんなロボットを実現できる人材を育てたいと思っています」。生物の脳が持つ“学習”の仕組みが、ロボットを環境の変化に適応させる。歩行アシスト。そしてヒューマノイド。“人間機械システム工学”が実現する世界。持ち上げるカップの重さが変わっても、人はすぐに慣れる。「このような環境の変化に適応するための“学習”の機能を、生物の脳に学びロボットの操作に応用するのが私の研究です」と平田教授。カップを持ち上げるなどの“運動”の学習を担うのは小脳だ。そこで人や金魚を使った実験(上の写真)で小脳の学習様式を解明し、コンピュータプログラム化する。「こうしたプログラムによりロボットを操作できれば、多脚ロボットの関節が1つ故障しても、環境に適応することが可能です」。一方、この実験の中で眼の動きと人の眠気が深く関係していることが明らかになり、自動車運転中に眠気を感じる"前"に起こる眼の動きを検知し警告を行うスマホのシステムも開発した。多様な分野の知識を結集して生まれる次世代ロボット。「幅広い知識を持ち、人の役に立つ、世の中にまだないものを創り出せる人材」の育成を、平田教授はめざしている。 研究室紹介 1大日方 五郎教授研究室紹介 2平田 豊教授梅崎 太造 Taizo Umezaki 学歴 名古屋大学大学院工学研究科専門分野 音声・画像情報処理工学/福祉工学/計測工学授業科目 デジタル電子回路/医療工学 他研究内容 指紋・静脈・虹彩等による個人認証/発話訓練等のリハビリテーション/三次元形状計測/AIロボット開発大日方 五郎 Goro Obinata 学歴 東北大学大学院工学研究科専門分野 制御工学授業科目 ロボット工学概論/ロボットモーション 他研究内容 人間支援ロボティクス十河 拓也 Takuya Sogo 学歴 京都大学大学院工学研究科専門分野 制御工学授業科目 マルチボディダイナミクス/自動制御工学 他研究内容 反復学習制御/非最小位相系の制御/逆システム/ディジタル制御高丸 尚教 Hisanori Takamaru 学歴 広島大学大学院理学研究科専門分野 シミュレーション科学授業科目 初等力学/材料力学 他研究内容 プラズマ・シミュレーション(粒子、流体)/統合コンピュータ・システム構築/高速計算手法開発長坂 保典 Yasunori Nagasaka 学歴 名古屋工業大学大学院工学研究科専門分野 情報工学/計算機工学授業科目 ロボット理工学Ⅱ/ロボットプログラミングⅡ 他研究内容 ニューラルネットワークの工学的応用/パターン認識/画像処理/自律歩行ロボットの開発平田 豊 Yutaka Hirata 学歴 豊橋技術科学大学大学院工学研究科専門分野 神経科学/生体情報工学授業科目 デジタル信号処理/システム神経科学総論 他研究内容 生物の運動制御に学んだインテリジェントなロボット制御法の開発/人と金魚を対象に脳で実現される運動の学習メカニズムを探求 藤吉 弘亘 Hironobu Fujiyoshi 学歴 中部大学大学院工学研究科専門分野 画像処理工学/コンピュータビジョン授業科目 ロボット理工学Ⅰ/ロボットビジョン 他研究内容 機械学習/機械学習を用いた物体検出/人物画像解析等を中心とした画像認識(ロボットビジョン)安林 幹翁 Mikio Yasubayashi 学歴 中部工業大学大学院工学研究科専門分野 電力工学/電気機器工学授業科目 社会と工学/モータ論 他 研究内容 太陽光発電用パワーコンディショナー/多足歩行ロボットの最適歩容/コミュニケーションロボットの効用/ロボット用アクチュエータの特性改善/医療用ロボットによるハイブリッド手術室の設計/グラフェン成長法の改善稲垣 圭一郎 Keiichiro Inagaki 学歴 中部大学大学院工学研究科専門分野 神経科学(脳・視覚情報処理)/計算科学/ニューロインフォマティクス授業科目 ロボットプログラミング入門/アナログ電子回路 他研究内容 大規模シミュレーションによる微小眼球運動の制御メカニズムならびに視覚情報処理の解明/生体運動学習のメカニズム解明山内 悠嗣 Yuji Yamauchi 学歴 中部大学大学院工学研究科専門分野 画像認識・機械学習授業科目 ロボットオペレーティングシステム/ロボット理工学演習A 他研究内容 人や車両などの特定物体検出李 載姈 Jaeryoung Lee 学歴 名古屋大学大学院工学研究科専門分野 ヒューマンロボットインタラクション(HRI)授業科目 ロボット理工学Ⅰ/ロボット理工学Ⅱ研究内容 自閉症セラピーにおけるヒューマン・ロボットインタラクションに関する研究Department of Robotic Science and Technology10月17日~21日に東京ビックサイトにおいて開催されたWRSフューチャーコンビニエンスストアチャレンジに、オムロン、中京大(橋本研究室)、中部大(機械知覚ロボティクスグループ:ロボット理工学専攻の学生3名と藤吉教授)が合同チーム「ROC2」として参加しました。同ロボット競技において、1位と同点でしたが競技時間とリスタート回数が多かったことから2位(14チーム中)となり、同時に日本ロボット学会特別賞も受賞しました。TOPIC

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