EDUCATUS Vol.1
6/12

必要があります。また、それらの語彙に含まれている様々な意味や用例、表記、発音を身につけることが求められます。これらの内容を学習するためには、義務教育だけでは十分ではありません。義務教育で学習する漢字や国語テキストの内容だけでは不十分なのです。従って、生涯にわたって言語を学び続けることが必要であり、言語、語彙を学び続ける態度や習慣が重要なのです。 こうした背景のもと、日本では、戦後、1947年の小学校学習指導要領試案の公示以来、日本の小学校で、辞典の引き方を学習することになりました。現在まで、辞書の引き方を教える指導は継続して行われてきています。1947年学習指導要領試案では、小学校4年生で、後に小学校4,5,6年生で辞典指導は行われることが定められました。アメリカ言語教育学者輿水実がその辞典指導の系統をアメリカのコースオブスタディ、ヴァージニア・プランを参考に定めたと考えられています。小学校4年生で辞書の使い方を教え、小学校5年生で辞書を使用させ、小学校6年生で辞書を活用させるという「指導の系統」が定められました。現在は、小学校3、4年生で指導することになっており、実際には、小学校3年生で国語辞典、小学校4年生で漢字辞典を教えることになっています。 辞書は、語彙を学ぶための重要な教材なのですが、日本の学校教育は、辞書を使用しなくても教材で学ぶことができるように作られています。かつて、辞書がなければ読んだり、文章や言葉を解釈したりことが難しかった教科書に、言葉の意味や使い方の解説が付記されるようになり、辞書の指導が、辞書の構造、言葉の並び方、辞書を使用することの目標を教えるというものに矮小化されてしまいました。 語彙を学ぶ主体を形成するために、私は1990年代に「辞書引き学習法」を開発しました。 この学習法は、従来の辞書指導とは異なるアプローチをします。そして、辞書を活用するという点において、これまでにはない画期的な辞書活用の仕方を子供たちがみせてくれます。6

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る