EDUCATUS Vol.1
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4測定風景2014年にスタートした古くて新しい研究 幼児同士の交友関係やコミュニケーションの研究は、ビデオ観察や目視による間接的観察法によって多く検討されてきているが、設定された環境や限られた広さにおける検討やコミュニケーションの観察可能な側面に対する検討に限られていることが多く、客観性にかけるという課題があった。また、多人数の交友関係を分析するには時刻同期が必要となるが、観察法によって実施することは困難である。こういった問題点を解決することがわれわれの研究では可能と考える。 系統だったことを述べるには時期尚早な研究であるが、これまでの研究成果を一部紹介する。1. 外遊び時間中の幼児の行動や集団形成の変化  コミュニケーションや交友状況が顕著に現れる、外遊び時間中の幼児の行動の変化と集団形成の変化について検討した結果、少人数の密なネットワークが外遊び時間の早い段階外から形成され、構成メンバーの大半は変わらず、密なコミュニケーションが継続していたことが明らかになった。このことから、興味や関心の“類似性”によって遊び相手を選択している可能性が考えられる。また、身体リズム、対面する人数、会話数、話しかける回数に性別による差はなく、身体リズムの高い幼児は対面人数が少なく、身体リズムの低い幼児ほど対面人数、会話数が多いことが明らかとなった。2. 外遊び中のコミュニケーション状況と  体力・運動能力との関連 幼稚園に通園している年中児の体力・運動能力測定項目(20m走、立ち幅跳び、反復横跳び、ケンケン跳び、懸垂、片足立ち、跳び越しくぐり)の結果を0.5歳区分でTスコア化し、上位から6名(上位群)と下位から6名(下位群)に分けて比較した。その結果、対面人数および身体リズムに有意な差なく、体力・運動能力の違いによるコミュニケーションの特徴はなかった。また、固定遊具・施設の使用(接触)回数に有意差はなく、使用した固定遊具・施設に異なる傾向があったことから、体力・運動能力の違いによって遊びの嗜好が異なる可能性が伺えた。固定遊具のリスク管理の検討については、年少児の結果から、滑り台は小集団で使用する傾向が高く、踊り場で密集することがないため、活発に動きながら活用している様子が把握できた。また複合型遊具の吊り橋部においても同様の傾向が見られ、両遊具とも使用者が少ない時の方が幼児の動きが活発なだけに、大集団で使用しているときよりも落下、転落等のリスクが潜んでいることを伺うことができた。

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