EDUCATUS Vol.1
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3なぜ保育・教育の現場に? 幼児期は、いろいろな遊びを通して心身が育ち、幼児同士の関わり合いの中で協同性や社会性が培われる。遊びの中でも「外遊び」は、多くの動作を遊びから自然に身につけることができ、遊びが習慣化することにより運動機能や体力が向上する。しかしながら、近年、子ども達が身体を動かして遊ぶ機会は減少し、多様な動きの習得やコミュニケーションを構築する機会が限られてはいないだろうか。幼稚園や保育所における同年齢集団での生活体験は、こうした機会を経験する重要な場であり、他者との関係が大きく影響すると考える。そこで、幼児が園舎、園庭、固定遊具で遊びを展開する中で、「だれが」「だれと」「どのくらい」コミュニケーションをとりながら、どのように行動して集団形成と変容が繰り返されているのか、リアルタイムで評価し、特徴を掴むことを試みている。保育者の保育実践の実感を客観視することに貢献し、結果的に園児の自発的・主体的活動を支援する方法の一つになり得ればと考える。 また、行動変容と集団形成の変化が傷害の発生に関連しているか、変容する集団に特徴はあるのかという視点で傷害発生のメカニズムを解明していきたいとも考えている。幼児期は、身体諸機能の発達が著しく、自らがすすんで活発に体を動かすが、身体能力や危険予測能力が未熟であり、頭部が重いという幼児特有の体型的特徴があり、事故に遭遇しやすいと考えられる。「学校の管理下の災害[平成26年版]」(独立行政法人日本スポーツ振興センター発刊)によると、幼稚園では全国で22,605人、保育所で41,175人が骨折、捻挫、脱臼、挫傷・打撲などの負傷を負っており、骨折や重傷な障害は年々増加傾向にあることが報告されている。リスクとハザードの特定を実証することにより、全国の幼稚園・保育所の災害の減少に貢献できればと考える。 図1 対面ネットワーク図行動軌跡担任 クラスネットワーク 個人対面 担任 園児! 園児"#聞き手になっていない 園児!から$$%回話しかけられ、&%$回話し返した

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