学校法人中部大学
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東海地方を代表する総合大学として、中部大学では理工系を中心に文系もふくめたさまざまな分野で他大学に無い特色ある研究が進められており、ユニークな研究成果が注目されています。1.ホタルからゴキブリまで、身近な生物の機能を遺伝子で解明 応用生物学部が対象とする生物は幅広いのが特徴です。発光生物を専門とする大場裕一教授は、ホタルの全ゲノムを解読したほか、発光魚キンメモドキが餌のウミホタルから発光酵素を盗むことを明らかにしました。共同研究でゴカイの光る仕組みを解明したり、海底洞窟で新種の光る生物を見つける成果も上げています。 長谷川浩一准教授の専門は衛生害虫や寄生虫で、遺伝子を破壊してゴキブリだけを駆除する方法を開発したり、マリーゴールドが土壌病害線虫を殺虫する仕組みを解明したりして注目されています。ゴキブリ体内から発見した新種の線虫は「チュウブダイガク」と命名されました。4.考古学や文化人類学分野でフィールドワークも広く展開 考古学者である人文学部の西山伸一教授は、西アジアなどでの遺跡調査を進め、2019年にはイラク共和国クルド自治区で約2700年前の楔(くさび)形文字碑文がある青銅製首飾りを発見し、注目を集めました。 文化人類学者でプロの音楽家でもある国際関係学部のヅォン・ティンティン講師は、少数民族と生活を共にしたりしながら、中国の長い歴史をさかのぼって音楽や民族に現れる人々の生活の変化を調べています。2007~2018年にかけ、学生教育の一環として中国の歴史を表現するファッションショーも開催しました。2.生命科学や物理学で医療や健康増進に貢献 生命健康科学部には生命科学、医学だけでなく、物理学者も在籍しています。川本善之准教授らは、イカスミの主成分であるメラニンが花粉症や食物アレルギーの症状を抑える可能性を明らかにし、医療応用の可能性を探っています。 岩田悟助教らは、熟練した技術が必要だった動物胚のゲノム編集の簡便な方法を開発し、特定の染色体を改変させたマウスを世界で初めて作り出しました。この方法で作られた疾患マウスが治療法の研究などに役立つと期待されています。生物物理学者の新谷正嶺助教らは東京大学などと組み、心臓の動きにかかわる精緻な数理モデルを開発しました。3.AIで社会を支える研究を推進 人工知能(AI)も中部大学が力を入れる研究分野の一つです。工学部ロボット理工学科のイ・ジェリョン講師らは、感情表現に合わせて反応するロボット用AIを開発し、セラピストの補助役として自閉症児の治療を手伝うロボットの開発をめざしています。 また同学科の藤吉弘亘教授と情報工学科の山下隆義教授らは自動運転用AIの信頼性を高める技術に取り組んでいます。特色ある研究(基盤研究)ヘイケボタルの成虫メラミンがアレルギーを抑制する仕組みロボットを用いて自閉症児の反応を確認する中国の歴史を表現した民族衣装 中部大学では、研究者一人一人が自らの研究を探求するため、科学研究費助成事業(科研費)に応募し、研究費の獲得に力を注いでいます。2020年度は「基盤研究B」の採択率が特に高く、今後の研究成果が期待されています。 さらに、日本を代表する物理学者、故伊藤早苗先生からのご厚志により「伊藤早苗記念基金」を創設しました。独創的で将来の学術研究を担う女性研究者・女子学生の活躍を支援します。 なお、世界約23,000校の高等教育機関の教育力や研究力を示す「THE(Times Higher Education)世界大学ランキング2021」では、総合順位で1001+にランクイン(国内私立総合大学で8位)し、さらに国際的な科学雑誌「Nature」が質の高い82の科学雑誌を独自に選び、そこに掲載された論文をもとに大学や研究機関を順位づけた「Nature Index 2020」において、国内全大学中55位、全私立大学中15位にランクインするなど、世界から高い評価を受けています。評価される研究力16

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