中部大学日本伝統文化推進プロジェクト活動報告書
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 2021年10月 6 日(水)、不言実行館アクティブホールにおいて、平安装束ワークショップが開催され、日本語日本文化学科の学生(3、4年生)や教職員60数名が参加した。コロナウイルス感染拡大の影響で開催が危ぶまれたが、人数を制限し感染対策を行った上で実施され、後日動画が公開された。 ワークショップは2013年と2015年の斎宮歴史博物館、いつきのみや歴史体験館のスタッフによる十二単の解説と着付けのワークショップ以来、6年ぶりの開催であった。今回は、一般財団法人 民族衣裳文化普及協会から5人の講師をお招きし、十二単・狩衣・直衣の着装実演と解説をお願いした。 日本語日本文化学科の3年生の3人の女子学生がそれぞれ「狩衣」「直衣」「十二単」のモデルに選出され、着装の度に様々な解説が行われた。モデルである御方様(おかたさま)に対して2人の衣紋者(えもんじゃ)が付き、前後で着付けをしていく。衣紋者にも細かい作法があり、所作も美しい。 当時の女房装束の着付けは紐の数も少なくゆったりとしたもので、紐を1本解けば火急の際などはすぐに脱ぐことができたが、現代では数本の紐を使って着付けが行われる。雲鶴や亀甲の文様、括り緒(くくりお)、露、襲(かさね)の色目の解説など、学生には聞き慣れない専門用語も出てきて、知的好奇心が刺激された。 十二単は俗称であり、文献では『平家物語』が初出とのことである。『源氏物語』の光源氏や末摘花など登場人物のユーモアを交えた解説もあった。現在の十二単は16キロほどあるそうだが、当時の絹糸は細くて軽かったようでそれほど重くもなく、十二は多いという意で十二枚重ねるということではない。 今回は10月ということで、十二単は季節に合わせて紅葉襲(もみじがさね)の装束を選んでいただき、烏帽子(えぼし)や冠、かつら、浅沓、蝙蝠(かわほり)、檜扇(ひおうぎ)、畳紙(たとうがみ)などの小物までご用意いただいた。 学生の反応もよく、写真や映像でしか見たことがなかった色鮮やかな平安装束を直接、目にすることができ、貴重な経験になったようである。しばしの間、平安時代に思いを馳せることができたのではないだろうか。平安装束ワークショップ「十二単・狩衣・直衣を体験しよう」- 9 -

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