平成28年度成果報告書
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22)カヤネズミ生態の基礎研究①上記保全地域におけるカヤネズミ球巣数および営巣環境、個体の行動観察2016年6月19日,2016年10月28日に球巣数の調査と巣内の個体の有無を確認した(のべ学生33名)。本年度巣内に個体を確認することができなかったため、個体の行動観察はできなかった。②保全地区の環境モニタリング6月15~20日にて永久コドラート内植生調査を実施した(のべ学生12名)。また、6月27日~7月23日にて架巣条件や昨年度の草刈りの効果を明確化するために、架巣されていたオギ(および架巣されていなかったオギ)の形態調査を行うとともに、現場の土壌断面調査および土壌採取を行った(のべ学生54名)。その後、土壌養分の分析を行い、オギの形態との関係について考察した(学生2名:卒業研究)。3)「春日井市カヤネズミ保全グループ発表会」の開催 2月13日に本年度卒業研究発表会にて、保全地での活動の進捗状況や次年度以降の課題や研究成果の発表会を開催する。これにより、年間の活動総括と今後の計画指針を共有し、PDCAサイクルを意識した持続的な活動を促す。4)総括オギの移植から4年、カヤネズミの移入から3年が経ち、環境アセスメントの事後調査の期間終了もあと2年ほどに迫ってきた。本年度の調査研究により、保全に必要な植生条件の理解はかなり進んだと認識している。今後は、事業者による開発に始まったこのカヤネズミ保全地の新規創生事業は、コンサルタント会社が撤退する残り2年間で、春日井市が旗を振り、地域で自立的に管理できる体制および手法にシフトできるかどうかにかかっている。大学としてどのような協力をすべきなのか、学生にとっての教育的な意義を忘れずに、慎重に方向性を考える必要がある。なお、本プロジェクトでは、地域創成メディエーター12名を輩出予定である。環境生物科学科以外にも文系理系問わず、参加してもらうことができた。彼らへの教育経過においても活動内容の啓発を行うことができたと思っている。彼らの活動の中心は単なる草刈りや土壌採取であった。しかし、このような単純で地道な作業が、保全すべき種の生態把握や保全指針を立てるために必要であること、小さなことでも専門外の人間であっても、地域に貢献できる活動があることを理解してもらえたようであった。活動成果の公表 学会等での発表はできていないが、春日井市役所およびサンコーコンサルタント㈱との間での情報共有は随時行われてきた。1月24日の春日井市自然環境保全委員会の中でも内容を報告している。研究を担当した学生自身による報告も1度ではあるが会議の中で実施した。 さらに2月予定の発表会でも公表し、広く関係者に現状を理解してもらえるように努めている。 本年度、調査研究を始めて3年が経過し、定量的な結果も得ることができたので、来年度の生態学会等において発表を予定している。 2 活動報告-74-

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