平成27年度成果報告書
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2 【成果】 世代間交流会に参加した事前・事後の調査に協力が得られた学生(n=44)の回答について対応のあるt検定を行った(図1)。その結果、交流会に参加した学生は、高齢者とコミュニケーションをとることができるようになり、高齢者に対する理解を深め、今後高齢者と積極的に交流を行いたいという認識を高めていることが示された。また、今年度はLHS・LHVがもたらす教育効果についても検討を行った。LHS・LHVに参加する学生には事前に活動の意義を周知するとともに、高蔵寺NTについての学習も配布資料を用いて実施した。 参加する学生には事前に「学びのテーマ」を具体的に設定するように指示した。参加した学生8名の内、5名は明確なテーマを設定し、3名は漠然としたテーマで臨んだ。実施後のアンケートでは8名の学生全員がLHS・LHVへの参加は有意義であったと回答し、また、ステイや訪問が楽しい体験であったと回答している。具体的な学びの成果を検討したところ、ホストファミリーの生活に触れたからこそ感じられた事として、「自分の生活が当たり前ではなく、様々な思いで生活をしておられることを知れた。」「困難に負けずに生きる強さを教えて頂いた。」「一緒に活動したことで不自由を改善できるポイントを考えることができた。」などの発言があった。どの世帯においてもホストファミリーが温かく学生を受け入れてくれることで、学生も戸惑いを感じることなく生活ができた。LHS・LHVに世代を超えて学び合うという教育効果は十分に期待できるが、そのためには両者が自発的に活動に参加するという条件が伴う。この点について、学生には先輩から後輩への薦めが有効と思われる。また、地域住民側の受け入れには困難を伴っているが、インタビューでは受け入れていただける声も聞かれ、顔見知りになっていることが条件であると話される方もおり、直接顔をあわせてお話を聞くことが重要であると思われた。 WHO/QOL-26の調査では、生活状況とともに調査を行った(表2)。対象者は少なかったが、高齢者群が大学生群よりも平均的に高い傾向が伺え、高齢者群は大学生群に比べ心理的領域については有意によい結果が示された。また、高齢者の家族と同居の有無による得点差は全体・心理的領域・環境について有意に一人暮らしの方が低かった。高齢者と大学生の交流や同居は、双方のQOLの向上に寄与する可能性があるのではと思われた。 今年度の取り組みから学生の高齢者に対する理解や対人関係能力の向上、高齢者の実生活から得られた情報に対する試行錯誤や提案などの高齢者から得るフィードバックが学生の学習意欲を高めることにつながるのではないかと思われた。 活動成果の公表 LHS/LHVについては、10/28に学内にて報告会を実施した。 地域高齢者のWHO/QOL-26については希望者に返却し、結果の集計を報告する機会をいただき伝達した。 前後前後前後0246交流会前後(高齢者理解)自己評価** ** ** 高齢者理解 高齢者交流 コミュニケーション **:p<0.01 全体 一人暮らし 家族と同居高齢者21名大学生30名高齢者6名大学生7名高齢者15名大学生23名QOL平均得点3.5793.310n.s.3.2563.236n.s.3.7083.333n.s.(領域別平均得点)身体的領域3.7353.419n.s.3.4763.571n.s.3.8383.373n.s.心理的領域3.5083.039n.s.3.0562.905n.s.3.6893.080*社会的関係3.4133.444n.s.3.2783.286n.s.3.4673.493n.s.環境3.5773.417n.s.3.2713.232n.s.3.7003.467n.s.全体3.5243.200n.s.3.0003.000n.s.3.7333.261n.s.*:p<0.05n.s.:有意水準5%未満で有意差なし表2 高齢者と大学生のQOL * * * 図1 交流会参加前後の比較 2 活動報告-79-

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