応用生物学部2023
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応用生物化学科 2017年度卒墨研究室佐藤 拓磨Pick up!微生物の力を使った「持続可能な農業」の確立墨研究室では、微生物を活用した農地への肥料削減方法を研究しています。中でも私は、肥料の三要素の一つであるリン酸に注目した研究に取り組みました。リン酸肥料は、原料であるリン鉱石を加工して生産されるのですが、その産出国は偏在していて、日本は100%輸入に頼っています。さらに、日本にはリン酸肥料の有効性が低い土壌が広く分布しているため、リン酸肥料が過剰に施肥される傾向があり、土壌中に蓄積したリンを有効に活用することが求められています。研究室では土壌中の微生物に注目し、温室での植物栽培実験や、写真に写っている吸光光度計を用いた酵素活性の測定を行い、微生物の働きを調べています。また、測定結果を用いて土壌中の養分と微生物の関係を明らかにすることで「持続可能な農業」の確立を目標に研究しています。卒業後は、肥料の会社に就職が決まっており、研究室の実験やゼミで身につけた知識を活かして農家の方々に適切な施肥アドバイスを行い、日本の農業の発展に貢献したいです。ワタシの卒業研究研究research准教授 中川 大Hiroshi Nakagawa専門分野:動物細胞工学、生理遺伝学、薬理活性物質准教授 愛知 真木子Makiko Aichi専門分野:植物生理学、分子生物学【中川 大 研究室】【愛知 真木子 研究室】己を知り、敵(病気)を知れば、健康長寿も夢じゃない!私たちの染色体上には、「塩基配列の個人差」が300万~1000万ヶ所に存在しています。この一部が、「病気に罹りやすい(あるいは罹りにくい)」や「薬が効き過ぎる(あるいは効きにくい)」のような体質を決定しているのです。中川准教授の研究では、「塩基配列の個人差」の中から「体質の個人差」を決定する塩基配列の候補を見つけ出し、この塩基配列の違いがどのような「体質の個人差」を決定し、それがどのようなメカニズムで決定されるかを明らかにしています。「病気に罹るリスク」や「薬の効果」を事前に知ることができれば、「病気」や「薬の副作用」に備えることが可能になります。自らが病気の予防に努め、病気に罹った際には最適な医療を受け、老後も健やかに生活できる「活力ある高齢化社会」の実現こそ、中川准教授の研究の終着点です。ラン藻が地球を救うラン藻という葉緑体の祖先と考えられている生物を使って、食料問題や地球環境問題をバイオテクノロジーで解決したいと考えています。これまでに、ラン藻における窒素利用に関する酵素が窒素欠乏によって誘導されるだけでなく、基質である亜硝酸イオンが遺伝子発現を誘導していることを世界で初めて明らかにするなどしてきました。現在は、ラン藻を用いたバイオエネルギーづくりに取り組んでいます。飛行機を飛ばすためには、石油のような液体燃料が必要なのです。ジェット燃料の材料となる脂肪酸を効率よく生産するために、リパーゼや脂肪酸排出輸送体の同定、これらの遺伝子の機能発現コントロール機構の解明、培養条件の検討などのテーマに取り組んでいます。予想通りの結果が出なくても、そんな時こそ「発見」が隠れていると思って、その仮説をもう一度ゆっくり考え直し、細胞の中で何が起きているのか?思いを巡らせるところに研究の楽しさがあると思っています。

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