応用生物学部2023
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ワタシの卒業研究准教授 上野 薫Kaoru Ueno専門分野:土壌物理学、野生動物学教授 長谷川 浩一Koichi Hasegawa専門分野:応用昆虫学、線虫学、遺伝学環境生物科学科 2018年度卒武井研究室小川 桃代Pick up!顕微鏡と質量分析を組み合わせて魚類における脂質の機能を研究する。武井研究室では魚類生物学の研究を行っています。主にはいろいろな環境で生息する魚の感覚器や脂質成分を対象として、形態学や分析化学の解析結果から機能や生態を考えていく、といった研究を行っています。研究室の特色は何といってもメンバー自らが魚を入手することであり、海や川での釣り、魚市場での買い付け、漁船などへの乗船など、様々なフィールドに赴いて新鮮な標本を入手します。もちろん、標本を研究室に持ち帰った後には、顕微鏡観察や分析化学の実験をしっかり行います。私は現在、質量分析と顕微鏡を組み合わせた方法で、魚の脂質を研究しています。魚にはDHA等の人間の健康にも良い脂質が豊富ですが、魚自身にとってのこれら脂質の機能は不明な点が多いです。私が魚類で面白いと感じているのは、魚は人間にとって身近な生き物のようで、まだまだ解明されていない謎が多い点です。そんな謎を解明しながら、自然界の魚が持つ、人間の生活に役立つ新たな有効成分を探索していきたいです。研究research【上野 薫 研究室】【長谷川 浩一 研究室】動物、植物、微生物……“土壌”の環境は、生態系のすべてに深く関わる“東海丘陵要素植物自生地の土壌調査”“小型哺乳類の環境嗜好性に関する研究”“人工林の土壌理化学性調査”上野准教授が取り組む研究の特徴は”土壌”を切り口に”環境保全”を考えていることです。「土壌は生態系の要です。生産者である植物の体を支え、保持した水分や養分を与えて育むだけでなく、分解者である微生物や土壌動物、消費者である大型生物の棲息の場です。水による“物質循環”の場ともなって生態系を支えています。私自身も、土壌物理学から野生生物の保全へと研究が広がってきました」。環境生物科学科には、野に出ることが大好きな学生が多いです。フィールドワークが基本の上野研究室では、またそれに輪をかけた学生達が活動中です。寄生や共生といった生物間相互関係の分子メカニズムとその進化に関する研究寄生生活とは自らの生存を宿主に100%依存した生活であり、その見返りに宿主生物がメリットを享受できるような相利共生関係が成り立っています。「寄生性」は、宿主を病気にしたり、場合によっては死に至らしめたりする「病原性」と区別しなければならず、寄生生物がいなくなってしまうと宿主に不都合が生じることもあります。さらに、本来の宿主以外の生物体内に入ってしまった場合、宿主と寄生生物ともに悪影響を及ぼしあってしまいます。ヒトが豊かさを求めて自然を破壊し、自分たちにとって都合の悪い有害生物もろとも有益生物までも見境なく排除してきた結果、長い進化の過程で確立された生物間相互関係のバランスが崩れてしまい、修復困難な問題をたくさん引き起こしてしまっています。寄生や共生といった生物間相互関係の分子メカニズムとその進化を理解することで、現在問題となっている疫病や環境問題の根本原因を突き止め、その解決を目指しています。

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