EDUCATUS Vol.2
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9~学術交流協定締結校~ 中国北京首都師範大学の近況キャンパス入構時に提出するもの1.合格通知表(新入生のみ)2.大学キャンパスへの入構許可書(部外者)3.PCR検査結果(7日以内)4.健康コード5.学生証6.検温・顔認識 本学は、今年8月に中国北京・首都師範大学と学術交流協定を締結することになりました。この協定によって、学生や教員の相互派遣、教育経験の共有や共同研究が可能となりました。今回の新型コロナウイルスに対する大学の経験は、互いに共有して考えることに意味があると思います。協定校となった首都師範大学のコロナ禍への対応について、首都師範大学就学前教育学院の院長 康麗穎先生にインタビューしました。以下に、その内容を紹介します。大学と学院の行動方針と迅速な対応 2020年1月に中国武漢市で新型コロナウイルスの感染が確認されました。全国への蔓延を防ぐために、1月23日午前10時に武漢市はロックダウンされました。それを受けて、中国教育部(日本の文部科学省)は、旧正月休み中の1月27日に全国の小、中、高、大学の授業開始の延期を通達し、その2日後の29日には、「停课不停学」(休校しても学びは続ける)の方針を発表しました。その方針を受けて首都師範大学は、後期にオンライン授業実施体制構築に向けて、迅速に準備を整えました。 もともと大学には二種類の学習管理システムがあります。一つは普段授業に利用するいくつかの学内のシステム、もう一つは民間企業が運営する学外のシステムです。オンライン授業導入に向けて、複数の民間企業から、教育活動を支援するオンラインのプラットフォームや教育コンテンツの無償提供などの声明を出しました。首都師範大学では、学内・学外の二つのシステムの水準を大幅に改善して、学生の学修環境をごく短期間で整備することができました。 一方、教職員・学生の安全を第一に考えて、「安全自律・自己防衛」をモットーとし、一人ひとりの責任と節度ある行動を全校生に求め、感染拡大防止を徹底しました。教員へのフォロー体制 大学の従来からの学習支援システムは、それまで積極的に活用する教員がそれほど多くいたわけではありませんでした。とりわけオンライン会議のツールを用い幼児教育学科 准教授 楊 奕 YANG Yi国際交流委員 博士(教育学)専門分野:教育思想、教育史て授業を行うという双方向型の授業は、ほとんどの教員が初めての経験で、戸惑いも多くありました。オンライン授業のシステムを使いこなせるために、教員への研修講座を2月中に数多く開講しました。大学のデジタルキャンバスセンター(情報支援センター)は、全教員対象にオンラインによる指導を行い、24時間体制で教員からの質問等に応じられるように教員支援体制を整えました。加えて、各学院(学部)単位が、教員の習得状況に合わせて補足的な個別指導も不定期的に行い、また、ICTに詳しい教員を中心に、教員同士が互いに教え合う学習グループを作って、新たな協力体制も生まれてきました。学生への学修指導 学生に対しては、後期の授業はすべてオンラインで実施することを、冬休み中に各学年の担任を通して、全学生に連絡しました。遠隔授業に必要なアプリのダウンロードも担任や授業の担当教員の指導の下で、授業開始前に全部終わりました。 学生のオンライン授業の指導については、それほど難しくなかったようです。中国では、ICTは、中等教育段階から学校に導入され、教育に欠かせない手段の一つとして認識されています。2月初頭にネット環境に関する学院の調査が行われました。ほとんどの学生は自分用のパソコンを持っており、通信量にも問題がないことがわかりました。 また、学生の健康管理は徹底しています。2月から毎日検温を行い、当日の健康状況と行動歴を担任に報告しなければなりませんでした。そして、各学院が学生・教職員の統計を大学に報告し、大学のホームページに毎日、感染状況のデータが公表されています。 新学期が始まって2週間が経ちました。今学校が再開し、オンライン授業も対面に切り替えました。大学の規定に従って、検温、行動歴のチェックなど毎日厳しく実施しており、教職員も一丸となって、安心できる学びの環境づくりに努めています。「休校しても学びは続ける」をモットーにコロナと向き合う-中国北京・首都師範大学の取り組みについて-

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